狐笛のかなた

※折りたたみ以外はネタバレないよー

『狐笛のかなた』。
理論社から2003年に出版された、上橋菜穂子せんせいの作品です。
この2月から大阪でこちらを原作にした舞台が開演されるってことで、原作を読んでみました。

で、これです。
左から影矢、野火、玉緒。

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お前の狐笛イメージなんか違うんとちゃうか。
て、ものすごつっこまれるような気がするんですが
しょうがないじゃない、霊狐トリオにぎょえー来ちゃったんだからしょうがないじゃない!
イメージは自由ですよね!?ねぇママン!?ねぇ!(取り縋って

というわけで感想ですが、
もう一言です。


玉緒!

ていうか玉緒だろ!

や、基盤は野火と小夜のラブストーリーなんですが、
キャラ的にに玉緒愛してますハァハァ
いやー口を血だらけにして目をギラギラさせて、
でも芯のある言葉を吐く玉緒がほんとよかったです。

野火と小夜は、立場、種族と、あらゆるものが二人の間をわかちながらも、魂が同じ者が惹かれあう様を見たように思います。あのEDは、とても小夜らしい生き方なのでしょう。

彼女も自分の力で考え、動くことのできる、とても「上橋先生らしい」ヒロインでした。何がただしいのかもわからないながらも、恐れを抱きながらも自分の為せることを精一杯やり通す意志。まったくリスペクトです。飛びこむ勇気っていうかね。

小娘って、自分に何ができるだろうって縮こまってしまう矮小さもあるけれど、それを弾き飛ばす純粋なエネルギーをいっぱいその身に抱えているわよね。もちろん少年にもそれは言えるんだけど、小娘って、力無きものの代表みたいなもんだから、それが全力で大きな流れに立ち向かう時、ウワッていう感動が産まれるんだと思うの。そういう、もともと持っている弱さを克服する者こそがもっとも強い物であるわけですよ。うんうん。

『蒼路の旅人』のチャグムもまた成長譚なんだけど、こちらはまた背負うものの大きさが違って、感情で動くわけにはいかないけど自分の中にある光も消さないような、そんな選択をするところにグッと来た。強烈な責任感と、そこからの逃げ道との間で葛藤し、立ち向かうことを決意する美しさを、情景にして表現されていたのが素晴らしかった。

成長譚というのは王道であるけれど、それぞれの人によって、何が彼らを上へつき上げるのかは違うもの。それを様々な視点で描くことができる、上橋先生の想像力と、冷静な客観性に感嘆しました。

別視点、また出来事を包括的に把握するのって冷静じゃないとね。それを熱を持って描き上げるから物語に生が宿るんだと思うでよ!

とかまぁ真面目な話はさておいて


玉緒ぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!

うおおおおおおおお
使役してぇええええええええええ

↑物語の意図をとても無視した発言




おもしろいな、と思ったのは、表紙の絵とあいまってか、
読後に、狐の「ケーン」という寂しい鳴き声が聞こえたような気がしたことです。
作品のイメージが一つに収束していきました。



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しかしあれだな、人が悩む力を無くせばそれは獣なのだろうか。
いや霊狐だから神に近い存在なのでしょうが…
小夜は人であることをやめた後、人の世界のことを、自分とは切り離して考えてしまうのだろうか。
悩む、という次元から解き放たれてしまうのだろうか
さみしいのう。

by syokubutsuen | 2011-02-07 17:52 | その他まんが